『全社員面談から見えてきたもの、社員1100人の本音、悩み、そして会社の未来
~社内キャリアコンサルタント、産業カウンセラーとの1時間~』
<事例発表>
<事例発表>
さくら情報システム株式会社
人事部 キャリア開発センター 兼 HR推進グループ チーフアドバイザー 高久 和男氏(キャリアコンサルタント)
人事部 HR推進グループ 照山 寧子氏(産業カウンセラー)
本日は、『全社員面談から見えてきたもの、社員1100人の本音、悩み、そして会社の未来 ~社内キャリアコンサルタント、産業カウンセラーとの1時間~』をテーマに、さくら情報システム株式会社 高久 和男さん、照山 寧さんよりご講演いただきました。
さくら情報システムは太陽神戸銀行、三井銀行の関連子会社としてスタートしたシステム会社で、創業50周年を迎え、従業員数1091名、男性747名、女性344名、平均年齢43.7歳の会社です。
今回ご発表いただくのは研究会の運営スタッフでもあるさくら情報システム、キャリアコンサルタントの高久さんと同じ人事部で産業カウンセラーの照山さんです。
前半は高久さんに発表いただきました。今回、人事部が全員面談を行うことになった背景は、働き方の多様化が進む中、社員一人ひとりの気持ちに寄り添って面談し、異動・配置転換の実現、メンタル不調予備軍のリファー(産業医面談)につなげたいということです。また、人事異動はほとんどなく、同一部署に長くいる方が多いため、潜在的な問題を把握するためにも個人面談が必要なのではないかとの懸念もあり実施されたそうです。
プロジェクト名は『さくらモチベーション運動』通称『さくらもち!』、とても素敵なネーミングですよね。
全社面談の進め方は事前に行ったキャリアプランシートで異動希望など緊急度の高い方、次に20代、30代の若手社員に、その後対象者を広げていかれたそうです。
ヒアリング内容は健康面、仕事面、労働環境、異動希望、会社や人事への質問など5点。
キャリアプランシートに書けない本音を個人面談で丁寧にヒアリングされたそうです。
面談後は面談記録を人事情報の一元管理ツールに反映させ、直属の上司だけ閲覧可能にしたそうです。また、面談後すぐに対応が必要な方にはすぐ二次面談を行い、今後の対応を検討するという
体制はシニア社員(専任)2名、兼任でキャリアコンサルタント、産業カウンセラー、看護師、看護師&産業カウンセラーの5名、合計7名で一部の方を除き938名の個人面談を実施されました。
社内に専門の資格を持った方がいらっしゃるというのは素晴らしいなと思いました。
専任のシニア社員2名の方が誰を面談するのか割り振りし、その後、メールで日程調整に入ったそうです。このスケジュール決めが大変でかなり時間がかかったそうです。
実際の面談は事前に面談チェックリストを入力していただいたので、面談自体は比較的スムーズに進めることができたそうです。
後半は産業カウンセラーの資格を持つ照山寧子さんにお話しいただきました。
照山さんは25歳の時、プログラマーとして高久さんの部下だったそうです。初めて案件リーダーを任命され、悩んでいた時に子供が生まれたばかりの高久さんに「私も子供が生まれたからといってお父さんとしての振る舞いが完璧にできるわけではない。子供と一緒にお父さんとして成長していくんだから、リーダーになったからといってすぐにリーダーになれるわけではない。だから安心してリーダーをやっていったらいいんじゃない」と言っていただいたことが今でも心に残っていらっしゃるそうです。その後人事部に異動され、6年前に高久さんを人事部に迎え、今日一緒に発表できて嬉しいと満面の笑みでおっしゃっていました。素晴らしい上司部下の関係にとても感動しました。
照山さんは普段、復職支援や相談対応、健康経営などに従事されているそうです。趣味は保存食づくりという照山さんは、優しい語り口調で微笑みを絶やさない素敵な女性です。
面談を実施して見えたことは体調良好、問題ないと答えていても実際は問題があるのに問題ないと思っているような方も多く、健康リテラシーをもっと高めていく必要性を感じたそうです。
また、勤務管理表では見えなかった病気との両立をされている方や体調不良の方がいらっしゃるなど面談したからわかったことも多かったそうです。
また最近困っていることや悩み、など社員の高齢化がすすんでいる会社ならではの悩みなども打ち明けてくださったそうです。また在宅勤務の悩みも多かったようです。職場の人間関係は90%が良好でしたが、そうでない方もいて全員面談をしたことで見えてきた課題もあったそうです。
皆さん、普段は業務や部下やお客様などで忙しく、自分のことについて考える時間がない方も多く、面談を通じて仕事に対する自分の思いやチャレンジしたいことなど、新たな気づきがあってよかったというようになればとても効果的だと感じたそうです。今後はこちらが質問して相手の情報を得るだけのものではなく、面談する側もされる側も、本当によかったなと思える面談にしていきたいなとおっしゃっていました。
さくら情報システム様の全社面談、とても素晴らしい貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。
(文責:山岡正子、田中慶子)